「命売ります」観劇レポート到着!(3)

舞台「命売ります」東京公演もいよいよ今週末9日(日)まで!
今回も、スマホアプリ「パルステ!」のゴールド/シルバー会員の中から選ばれた観劇レポーターの皆様よりレポートを頂戴いたしましたので、ここにご紹介させていただきます。
今回はメールでお寄せいただいたものばかりで、ちょっと短めです。


主人公の方がとてもかっこよかったです。

ひろりろ さん


とってもよかったです。
奥が深かった。
人生考えさせられる。

主役の男性が超カッコよかった?
よく役にピッタリの人を見つけてくるな?
と思った。

おばちゃん さん


楽しく観させていただきました。
中3になる発達障害の息子に初めての舞台を観せてあげたく行くことに。
時間も長くどうかな?と、思いましたが、とても楽しかったそうです。
また行きたい!と言われました。

団子4兄弟母 さん


序盤からストーリーに引き込まれました。シリアスだったり、笑えたり、展開が早くあっという間の2時間半でした。見終わった後!充実感でいっぱいになりました。

tatopuさん


ひろりろさん、ズバッと一言のご感想に、東さんがいかに格好良かったかが伝わってきました。ご来場ありがとうございました!

おばちゃん さん(?)、POPな世界観の根底に流れる人生の奥深さを感じ取っていただけたようで何よりでした。そしてやっぱり東さん!格好良かったですよね。今後もぜひチェックしてくださいませ!

団子4兄弟母さん、息子さんもお楽しみいただけたとのこと、何よりでございます。本作を入り口に、今後もぜひ様々な演劇公演をお楽しみいただけたら嬉しいです。ご来場ありがとうございました!

tatopuさん、本作がバッチリtatopuさんの心のピースにはまったのが伝わってきます。2時間半をキャストの皆さんと駆け抜けてくださってありがとうございました!


舞台「命売ります」は12月9日(日)までサンシャイン劇場にて上演中です。
その後、12月22日(土)に大阪公演もございます。
千穐楽まで、引き続き沢山のご来場お待ちしております!

「命売ります」観劇レポート到着!(2)

舞台「命売ります」東京公演絶賛上演中です!
今回も、スマホアプリ「パルステ!」ゴールド/シルバー会員の中から選ばれた観劇レポーターの皆様よりレポートを頂戴いたしましたので、ここにご紹介させていただきます。


「三島由紀夫の極上エンターテイメント小説を舞台化。」ということで、サンシャイン劇場にて『命売ります』を観てきました。

舞台上には卓球台のような幅広の机が数台と、その奥には浮いているように扉がいくつも並んでいる不思議な空間。
縦をうまく使っている印象です。
その不思議な空間に濃いキャラクターが次々に現れます。身近にいそうな感じなのに言動が変!吸血鬼や秘密組織まで飛び出し、予習なしに観た頭の中は「?」でいっぱいに。

コメディタッチで笑える部分あり、ちょっとエッチな部分あり、怪しげな組織が出てくるスリルとサスペンスあり、「?」でもやもやしたまま、あっという間に2時間強がすぎていました。

死のうと思っているはずなのに、何故か生き延びる主人公の羽仁男。話しが進むうちに生への執着をみせるところが、自分の中のもやもやの正体でしょうか。
エンターテイメントと言いつつ、なかなか考えさせられる内容でした。

主演の東啓介さんの演技は初めて拝見しましたが、良く通る声で見た目も申し分なく、何人もの女性と次々に関わっていくのも納得できる出来映え。機会があれば別のお芝居も拝見したいです( ・∇・)。

珊珊 さん


テンポの良いコミカルな演技は笑いもありでしたが、ストーリーとしてははちゃめちゃな感じがして、途中なんだかよくわからない感じがして少し眠くなってしまいました。

匿名 さん


「豊饒の海」がとても良い解釈脚本演出構成だったのでこちらも期待していたのですがキャパがあり開放的なサンシャイン劇場には合ってなかったなというのが正直なところです。もう少し狭くアングラ感のある劇場で役者の息遣いが間近で感じられる箱が合うのでは。ドタバタ感は楽しかったのですがセットが危険ですよね。アフタートークで樹里さん怪我をされたと聞いて今後も心配です。千秋楽までもうどなたも怪我されませんように。
芸達者な方に囲まれて東さん大変だったかと思いますが健闘されてて安堵しました。今後ミュで大活躍される方だと思いますが美声ですし大きくて見栄えするのでストプレも続けていただきたいです。上村さん怪演でした。流石テニミュの金田を演られていただけあります。そして家納さんと川上さんがとても素晴らしかったです。来月もまた観劇しますので進化/深化を楽しみにしております。

ぱいろっと さん


三島由紀夫の不条理作品。
舞台にはドアだけが並んでいる。ドアの先には何もなく、ドアだけが存在する。そのドアが開く。そこから出てくるキャラクター達は、その先に何もない世界から現れてくる無の存在である。無の存在が、交差することにより、キャラクター達が動き出す。その動き出すキャラクター達も不条理である。
テーブルが舞台を駆け巡り、キャラクターは舞台を決して彩ることなく、舞台に染みていく一幕の舞台は起承転結に縛られることなく、ひたすらに集束していく。大団円とならず、霧散して終演となる。時間は無情である。その無情は無常でもある。不可思議である。

はまお@さん


珊珊さん、舞台美術から受けた印象も含めた幅のあるレポートをありがとうございました!混沌とした「命売ります」ワールドに翻弄されながらお楽しみいただいたのが伝わってきました!東啓介さん、別の作品でもぜひチェックしていただければと思います。

(匿名さんはご本名と思われる署名しか記載が無かったので、匿名さんとお呼びさせていただきます。)
シュールな世界観は匿名さんの感覚とは合わなかったようですね…。でも、色んな世界があるのが演劇の良さですから、怯まずにまた色々な作品にチャレンジしていただければと思います。私たちも、シュールなものから真面目なものまで、様々な作品をご提供して参ります!

ぱいろっとさん、セットについてはご心配をお掛けしたようで恐縮でございます。キャスト、スタッフ一同、安全には細心の注意をはらって上演しております。これからご覧になる方も、ぜひリラックスしてご覧いただければと思います。来月もご観劇くださるとのこと、またのご来場をお待ちいたしております。

はまお@さん、淡々とした中にも含蓄のあるレポートをありがとうございました!不条理を不条理として受け入れてご観劇されたのが伝わってきました。
無情感、無常感、そして不可思議さを楽しめるタイプの方には「はまる」作品ですよね。大千穐楽まで、そういう方々にこそ集結して楽しんでいただきたいと思っております。

皆様、ご来場とレポートありがとうございました!またのご応募お待ちしております!


舞台「命売ります」は12月9日(日)までサンシャイン劇場にて上演中です。
その後、12月22日(土)に大阪公演もございます。
千穐楽まで、引き続き沢山のご来場お待ちしております!

「命売ります」観劇レポート到着!

舞台「命売ります」東京公演が開幕しました!
今回も、スマホアプリ「パルステ!」のゴールド/シルバー会員の中から選ばれた観劇レポーターの皆様よりレポートを頂戴いたしましたので、ここにご紹介させていただきます。


命売ります、観劇してきました。
三島作品ということで難しいかな?と思ってましたが、
少しファンタジーでシュールなエンターテイメント作品でした。

オムニバス作品のような構成で、物語が進むにつれて、それぞれのエピソードが少しだけ重なっていく。
複数役をやる役者さんにも意味があって、見終わった後に、また始めから見直して確認したくなりました。

高さのある舞台セット、その高低差を生かした演出にも注目です!

tonton さん


一言で、大変面白かったです。内容も分かりやすく、本を読んでいない私でも十分に楽しめました。
はじめは、三島作品なのですごく難しく、理解できるか不安でしたが、まったく問題なく、楽しい時間が過ごせました。逆に三島作品に興味がわきました。
ほとんど、三島作品は読んだことがなく、当然、命売りますも読んではいませんでした。
原文がどのように書かれているかわかりませんが、比喩の表現とか、話のやり取りが絶妙で
小説ではなく、戯曲のためのように思えました。
演出家さんの手の加え方が、原文を読んでいないので何とも言えませんが、原文に近いとなると
ぜひ、本を読まなくては、と思います。
舞台装置も独創的で、役者さんが怪我しないか少しハラハラしてみさせていただきました。
この舞台をとおして、三島作品に興味を持ちました。
ほかの人にぜひおすすめしたい舞台です。

はむ さん


豊饒の海に続き、今回の三島シリーズ作品を観る機会をいただきました。
原作は未読です。

「命売ります」というタイトルが妙に引っかかって、
チラシを手にしてからずーっと気になっていた公演でした。

まず、舞台のセットに驚きました。
驚いたけれど、これが実に効果的に使われていたように思います。
そして、時々見ている方が迷子になる感じ。
これが、このお話のミソなのかもしれない、とも思いました。

主人公のハニオ君がほとんど出ずっぱりのせいもあって、
次々に個性的なキャラクターたちが襲来してくるのを
一緒に体感しているようでした。

死んでもいいと言いながら
色々な状況に何だかんだ順応してしまうハニオ君。
何も望んでいないはずなのに、
いつのまにか何かを得て(与えられて)しまっていて、
それは、気付いた時には既に失われている。

生きづらい世の中。
もう生きなくてもいい。
・・・でも死ねない。
あれ、結局、死にたくないんじゃないの?

やっぱり何か(今回は「生」)への「執着」がテーマになっているのかな、
というのを今回の三島シリーズ2作品に共通して感じました。
終始シリアスな雰囲気だった豊饒の海に対して、
プレイボーイに連載されていたというだけあって
このお話はポップというのか、
かなり世界観が異なるように思えましたが、
後半の畳み掛けるようなハニオ君の台詞!
ぐるぐる引きずり回されて結局ポイっと放り出される感じ!
ああ、やっぱり三島由紀夫だー!!
と、たいして三島作品を知りもしないのに妙に納得してしまいました。

ノゾエさんがどんな風に舞台に構成し直されたのか、
ちょいちょい気になる部分があって(「二人組」のところとか)
原作を読んでみたいと思いました。

今回は、同時期に同じ作家の毛色の違う作品を見比べる
という貴重な観劇体験をさせていただきありがとうございました。
また面白い企画・作品を期待しています!

NISHIMe さん


tontonさん、一番乗りでのレポートありがとうございました!
作品の伏線のような隠された部分にも初見から注目されていて、さすがお目が高い!と思いました。
これからご覧になる方にはぜひ、セットの高低差を生かした演出に注目していただきたいですね!

はむさん、「豊饒の海」に引き続きレポートありがとうございました。全く色の異なる二作品をご覧になっての印象の違いが伝わってきました。
両公演ともお楽しみいただけたようで何よりでした!

NISHIMeさんも「豊饒の海」に引き続いてありがとうございました!
観る方が迷子になる、という表現がとても印象深く読ませていただきました。
同じ作家の全く異なる世界をご体感いただく面白さをレポートしていただけたこと、感謝申し上げます。


舞台「命売ります」は12月9日(日)までサンシャイン劇場にて上演中です。
その後、12月22日(土)に大阪公演もございます。
千穐楽まで、引き続き沢山のご来場お待ちしております!

「豊饒の海」観劇レポートが到着しました!(2)

舞台「豊饒の海」東京公演も早くも折り返し地点を過ぎました。
今回も、スマホアプリ「パルステ!」のゴールド/シルバー会員の中から選ばれた観劇レポーターの方よりレポートを頂戴いたしましたので、ここにご紹介させていただきます。


 三島由紀夫「豊饒の海」と言えば、そのタイトルと「難解さ」の評(噂)は聞き及んでいたので、全巻まとめて芝居にするという製作発表があったときは「かなりの冒険だな」と思った。そして主演を張るのが東出昌大。調べてみると、この作品がまだ2作品目だという。
 有名な原作モノとまだ2回目の舞台出演の演者、この2つを聞いただけでもビックリしたが、さらに驚いたのが演出家が外国人だという。日本人の演出家でも難しいと思われる作品なのに。いやいや、逆に日本人の演出家なら、そんな無謀なオファーがあっても受けないか・・・。

 といった感じで、芝居を観る前から二重の意味で“相当な”作品になるぞ、と思っていた。

 まず、基礎知識として、三島由紀夫の「豊饒の海」の予習。この作品は以下の四巻から成っている。

第一巻「春の雪」
第二巻「奔馬」
第三巻「暁の寺」
第四巻「天人五衰」

 この大作をどのようにまとめるのか?という思いを抱えながら観劇。

 基本的には東出昌大演じる松枝清顕の物語がベースで展開されるが、時間軸が行ったり来たりする構成で脚本が書かれていた。三島由紀夫の本で言えば第一巻を主軸にして四部作の他の三巻の物語の断章を挟み込む形で“再構成”されていた。なるほど、そうきたか。

 小説では本多繁邦の一生(青年期、壮年期、老年期)を描きながら、本多と若き日に会い二十歳で死んだ松枝清顕と、その生まれ変わりと思われる人物が登場し、本多繁邦に(=本多繁邦の方から)関わる形で展開していく(ちなみに清顕は「又、会ふぜ。きつと会ふ。滝の下で」という印象的な言葉とともに死ぬ)。
 三島由紀夫がこの物語で何を描きたかったのか?ということについては多くの研究者に任せるが清顕の最期の言葉と符合するキーワードとして「輪廻転生」があることだけは確かだろう。

 物語の時間軸を動かすのは演劇のフレームワークを使うのが便利であり小説では難しい。もちろん出来ないことはないが、それは説明的な文言(e.g.「昭和十六年に話は飛ぶが、--」「一方、昭和十六年--」といった前置き)を挟まない限り成立しない。さらに時間軸を動かした場面に「輪廻転生」した人物を登場させるとなると、余程手練れた書き手ではない限り説明的になってしまい小説としては面白みに欠ける。そう言う意味で、この作品は演劇的であると言えよう。

 現在、過去、未来を前後させ、かつ役者も入れ替わりながら芝居が続く。三つのホクロの登場人物が松枝清顕(東出昌大)の生まれ変わりだと信じ、生涯をかけて本多繁邦(大鶴佐助、首藤康之、笈田ヨシ)は関わりを持っていく。ただ老年期に会い自分の養子に迎えた安永透(上杉柊平)だけは違った。贋の転生者であることに気づく。そのとき本多は余命僅かとなっていた。

 まだ公演は続いているのでこれ以上のネタバレは避けるが、ラストで観客は驚くことになる。「えっ?それってどういうこと?」と思う人もいるだろう。「ここまで来て、それ?」と思う人もいるだろう。真意は分からない。それこそ三島由紀夫に訊いてくれ、としか言えない。もしかするとこう言うかもしれない。

 「虚無の極北」へようこそ。

 最後にパンフレットに掲載されている文言を引用して終わりたい。

 想像してください。この景色に亀裂が走って、船が出現する! 一瞬のうちに、それまでのすべてが破棄され、再構築されるんです。でもその船でさえ、とどまらない。世界は、そうやってとめどない再構成が繰り返されている。

twinkleocean さん


twinkleoceanさん、「ハングマン」「ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル」に続き素晴らしいご考察をありがとうございました。
軽やかに4つのストーリーと時代を行き来する本作のアプローチは、まさに「演劇的」であったかもしれませんね。
また今後も弊社公演へのご来場お待ちいたしております。ありがとうございました。


舞台「豊饒の海」は12月2日(日)まで紀伊國屋サザンシアターにて上演中です。
その後、12月8日(土)・9日(日)に大阪公演がございます。

公演情報

千穐楽まで、沢山のご来場お待ちしております!

「豊饒の海」観劇レポートが到着しました!

ただいま舞台「豊饒の海」が絶賛上演中です。
今回も、スマホアプリ「パルステ!」のゴールド/シルバー会員の中から選ばれた観劇レポーターの皆様に公演をご覧いただきました。
そのご感想が早速届いておりますので、第一弾としてご紹介させていただきます。
ご投稿くださった皆様、ありがとうございました!


豊饒の海を観てきました。
三島由紀夫の世界はそのままに、引き込まれるようなストーリーはとても面白かったです。幕間直前も驚き。
セットもシンプルでしたが、幻想的で物語を引き立たせる感じでとてもキレイでした。
素晴らしい舞台をありがとうございました。

ゆみぞう さん


一言で、大変面白かったです。内容も分かりやすく、本を読んでいない私でも十分に楽しめました。
はじめは、三島作品なのですごく難しく、まして4冊分をまとめて行うので理解できるか不安でしたが、まったく問題なく、楽しい時間が過ごせました。逆に三島作品に興味がわきました。

あまり、三島作品は読んだことがなかったのですが、最後の長編小説とのことで、興味がありました。
舞台は、大変わかりやすく、時代がかなり行ったり来たりするのですが、よくわかりました。
大がかりな舞台装置はないのですが、光(照明)を使ったもの運びにより展開がドラマチックに思えました。もう一度見てみたい作品の一つになりました。

はむ さん


人間の執念は怖いです。度が過ぎると自分自身の破滅を導くし、他人の人生まで巻き込むなんて恐ろしいことです。

清顕の聡子への執念、本多の清顕への執念、物語の進行につれて、恐怖すら感じしてきました。怖くて辛くて早くどこかでこの執念のスパライルが切れてほしいと祈らずいられないでした。

神野美鈴さんの台詞回しと演技は素晴らしかったです。滑舌のいい、抑揚が効く、色んな感情をのせて発したセリフに大いに感動しました。あえて目をつむって聞いても、感情表現が劣ることはありません。聞けて、すごく嬉しく満足でした。

K さん


不思議な物語でした。
てっきり、東出さん演じる松枝が主人公だと思って観ていましたが、
違う。これは松枝に魅せられた、本多という人の物語なのだ、
と途中から気づきました。
本多の、松枝に対する気持ちが一体何だったのか、
松枝という存在が何だったのか、
結局わからないけれど、
浮遊感のある舞踏のような身体表現、
そして三島文学らしい言葉の選択と相まって

何か、美しいものだった。

という印象が残る舞台でした。

ひとりの人物を3世代、それぞれ別の役者さんが演じたのも
とても効果的だったと思います。
「いま」の本多と過去の松枝との出来事が交錯する展開に
どんどん引き込まれました。

東出さんは文句なしに男前でこの役にぴったりだったし、
笈田さんの存在感が素晴らしかった。
そして、神野さんがとてもエレガントで素敵でした。

今回は素晴らしい観劇の機会をいただきありがとうございました!
ラブ・レターズのレポーターにも応募すれば良かったと後悔しています(そうそう当たるわけがないですが 笑)。

NISHIMe さん


ゆみぞうさん、こちらこそご来場ありがとうございました。
はむさん、お楽しみいただけたようで何よりです。
Kさん、私どもも素敵なご感想をいただけてとても嬉しいです。
NISHIMeさん、今期の観劇レポーターはチケット購入ポイント反映前で、非常に当選率も高いです。ぜひこれからもご応募いただけたら幸いです!

まだ観劇レポートはこの後も届くかと思いますので、また改めてご紹介させていただきます。。

舞台「豊饒の海」は12月2日(日)まで紀伊國屋サザンシアターにて上演中です。沢山のご来場お待ちしております!

パルステ!観劇レポーターより「チルドレン」レポート到着!

舞台「チルドレン」東京公演が明日9月12日(水)より世田谷パブリックシアターにていよいよ開幕します。

先週末行われた埼玉公演を、今回もスマホアプリ「パルステ!」のゴールド会員・シルバー会員の中から抽選で選ばれた観劇レポーターの皆さんにご覧いただきました。
そのご感想が早速届ききましたので、ご紹介いたします!


地震、津波、原発と難しい内容なのに一瞬で引き込まれる演技は流石です。笑いと怖さが一体化で目が離せませんでした。
地震被害を目の当たりにしている自分には何ができるのか、今更ながら考えさせられます。素晴らしい舞台をありがとうございました。

<お名前なし>


イギリス人の若い作家の作品とは…3.11の日本の原発事故を連想させます。登場人物3人だけのお芝居。皆それぞれ、ぴったりっていう感じのキャスティングでした。考えさせられるストーリーです。

<ドラゴン花 さん>


この舞台は翻訳劇ですが、見ていたら東日本大震災のことを思い出しました。ヘイゼル、ロビン、ローズ三人の会話は可笑しいだったり、一見矛盾な時もあるですが、後々すべてが成立したと思えてきます。生活そのもの、人生そのものだと思います。ユーモラスな会話を聞いて笑ったりしたが、ほぼ涙が止まりません。

ローズはなぜ原発に行く理由を説明した時のセリフとヘイゼルの反論を聞いて、一番つらくて、涙が込み上がってきました。懺悔、後悔、責任、後世子孫への愛、人間自身のエゴ、平穏な生活を送りたい欲望、様々な気持ちが劇場中に充満していました。
二人の言い分はどちらも正解だと思います。ローズ自身はがんにならなかったら、原発に行きたいのかも思ったりしていました。では、自分だったら、どう選択するかも考えはじめました。

観劇前に、もしかしたら、わかりにくいお芝居になるかもしれないと予想していましたが、完全に裏切られました。高畑さん、鶴見さん、若村さん三人の迫真な演技で、すごく理解できて、感情移入しやすかったです。観劇レポーターとして、このすごく考えさせられたお芝居を見ることができて、ありがとうございます。千秋楽はどんな進化になるかを、知りたくなりました。

< K さん >


皆様、素敵なレポートをありがとうございました!
思わず感想を述べずにはいられないという気持ちが、それぞれに伝わってきました。
皆様いただいた原文そのままでご紹介しております。

本作は、観た後にそれぞれが何かしらの思いを持ち帰られて、それを深く考えたり、共有したくなるタイプの作品のようです。
皆様は、何を受け取り、何を考えられるのでしょうか?ぜひ、劇場でお確かめいただけましたら幸いです。


「チルドレン」東京公演は9月26日(水)まで。その後は豊橋、大阪、高知、北九州、富山、宮城と全国を巡演して参ります。
各会場、沢山のご来場お待ちしております!

【ぴあ×パルコステージ特別企画】『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』尾上右近密着取材 vol.6】ゲネプロ レポート

現代劇に初挑戦する歌舞伎役者・尾上右近さんに密着してきたこの企画もついに最終回。開幕前日に行われた公開ゲネプロと囲み取材のレポートをお届けします。尾上右近という役者の、そしてこの『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル〜スプーン一杯の水、それは一歩を踏み出すための人生のレシピ〜』という作品の成長を目の当たりにすることができたゲネプロ。本番でのさらなる進化を、ぜひその目でお確かめください。

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また、今回は、登場人物のうち、コカイン中毒者が集まるサイトのメンバー、マデリーンを中心としたストーリーをご紹介。日本で生まれてアメリカに里子に出されたという過去を持つ彼女は、日本初上演となるこの作品の観客にとって、大いに親しみを感じさせる存在となるはずです。

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■STORY■

[オランウータン]というハンドルネームで、エリオット(尾上右近)の実母・オデッサ(篠井英介)が運営するサイトのユーザーとなっているマデリーン(村川絵梨)。ここしばらくログインがなく、仲間の[あみだクジ]ことウィルスキー(鈴木壮麻)も心配していたところ、久しぶりに登場した彼女は、今、日本にいるのだと打ち明ける。マデリーンは日本の釧路で生まれた日本人で、生後9日目に里子に出され、アメリカで育っていたのだ。そして、コカイン中毒から抜け出そうと里親にすべてをさらし、彼らから送られてきた片道航空券で日本へと飛び立ったマデリーン。だが、生みの親の居場所を突き止め、そこに向かおうとするも勇気が出ない。そんなとき助けを求めたのが[あみだクジ]だった。ふたりがオンラインの世界を出て現実につながろうとしていたその頃、アメリカでも、エリオットの育ての親が亡くなったことをきっかけに、彼の従姉のヤズミン(南沢奈央)、サイトの新メンバーである[ミネラルウォーター]ことジョン(葛山信吾)を巻き込みながら、エリオットとオデッサにも変化が起ころうとしていた。

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■公開ゲネプロ レポート■

エリオット(右近)と従姉のヤズミン(南沢)が生活しているリアルな世界と、エリオットの実母オデッサ(篠井)が管理している、薬物依存からの克服を目指す人々が集うオンラインの世界が、交錯しながら進んでいくこの物語。

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ゆるやかに傾斜した八百屋舞台には、[俳句ママ]ことオデッサの自宅ソファ、[あみだクジ]ことウィルスキー(鈴木)の会社デスク、[オランウータン]ことマデリーン(村川)がいる札幌のインターネットカフェの椅子が埋込み状態で配置されています。そこに、エリオットが働いているサンドウィッチショップや、ヤズミンの勤め先である大学の教室など、様々な装置が舞台袖から現れ、ふたつの世界は違和感なく切り替わっていきます。

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ログオンとログオフの音も効果的。俳優たちの身体表現を伴うチャット・ルームでの会話は彼らの心情をリアルに伝え、なかでも、プライドが高そうな[ミネラルウォーター]ことジョン(葛山)が新しく入ってきたときの[あみだクジ]と[オランウータン]のあからさまな冷ややかな態度は、観客も共感を覚えざるを得ないようなおかしみが漂ってきます。

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また、そんなユーザーたちを包む[俳句ママ]が、作品に温かさをもたらしてくれます。

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だが、リアルな世界ではオデッサも、さらにギスギスした人間関係にさらされてしまいます。息子のエリオットが、育ての親の死をきっかけに会いに来るのです。Photo_13

そこで見せる右近さんの芝居には圧倒されます。オデッサのコカイン中毒が原因で自分は見捨てられたのだと、タイトルにある“スプーン一杯の水”をめぐる話を告白するエリオット。オデッサを冷たくにらみつける瞳、その目に浮かぶ涙が、彼の激情を台詞以上に雄弁に語ります。

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さらには、気の置けないヤズミンとの会話で見せる豊かな表情や、イラク戦争で抱えたトラウマを象徴する幽霊(陰山泰)に対する慄きなど、初めての現代劇にもかかわらず、実に繊細に心を動かしていることが見てとれる右近さん。

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それに呼応する南沢さんの包容力がまた、どう生きていいのかわからなかったエリオットの背中を押していきます
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面白いのは、この物語の世界では最も爪弾きにされていた[ミネラルウォーター]が、息子に怒りをぶつけられたオデッサを支える存在となり、それとともにみんなが一歩を踏み出していくこと。どんなに弱くてもどうしようもなくても、誰もが誰かの力になり得るし、自分で自分を動かすことはできるのです。それぞれがどんな道を見出し、エリオットがどんな希望をつかむのか。彼らの一歩はきっと、観る側にも強い足跡を残すはずです。
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■囲み取材■

ゲネプロ終了後、キャスト7名が全員揃い、取材に応えました。
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まずは歌舞伎にはないゲネプロを経験した右近さん。「厳しい空気を感じ、精神状態は完全にオーバードーズでした(笑)。明日からの本番は、お稽古でみんなで作り上げたことを守りながら、そのときに起きる自分の感情を乗せてとにかく踏み出してみようという気持ちでやっていきたいと思います」。右近さんのその心境を聞いた村川さん。「普段堂々とされていて緊張とかしないんだろうなと思っていた右近さん……この現場では“けんけん”ってみんな呼んでるんですけど……けんけんが今日、『ヤバイ、吐きそう』って言ってたので、ちょっと安心できました(笑)」と笑わせました。

作品については、南沢さんが「読めば読むほど、『この台詞はどういう意味なんだろう』と謎が生まれてきて、みんなでディスカッションしながら理解を深めてきた作品です。それが実際に観てもらってどう伝わるのか、すごく楽しみ。人種も環境も違う登場人物が、最後には人とのつながりの温かさを感じていく。そんな普遍的なところがつながればいいなと思っています」とアピールします。葛山さんも「お客さんの反応に乗せられて自分たちもまた変わっていくと思います。どういうお芝居になるのか、本当に楽しみな作品です」と続け、陰山さんは「手強い脚本ですが、読んだときにこれは絶対面白くなるぞという予感がありました。また、僕の幽霊という役は、ちょっとずつ出てきて、実はスプーン一杯ずつ水を与える役ではないだろうかと思っているので、これからまだまだ深めていきたいと思っています」と真摯に話します。ネットの世界の住人を演じるうえで、「空間の取り方に苦しみ悩んだ」というのは鈴木さんです。「ネットと現実での人間の関わりというものがどんなふうに伝わっていくのか楽しみですし、僕の役も最後に現実の世界で人と関わる瞬間があって、そのとても愛おしいひとときを大事にしながら、みなさんと素敵な舞台を作っていきたい」と語りました。

そして、エリオットの実母オデッサ役を女形として演じる篠井さん。「演劇ならではの女形です。みなさんの想像力を掻き立てるように演じて、この母子の関係の、とても微妙な細やかな綾が伝わるといいなと思っています。たぶんみなさん、『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』って何のこっちゃという感じだと思いますが(笑)、その答えを確かめにぜひ劇場にいらしてください。内容は少々重いかもしれませんが、私たちのチームワークの良さと温かさがわんわんと出るはずですし、泣けますよ(笑)」と観客に向けて、やさしさとユーモアあふれる呼びかけをしました。

最後に右近さんが締めくくります。「現代劇の難しさは型がないことにあると感じています。歌舞伎には洗練された型があって、初役でも先輩から型を教わってその役として存在できますが、現代劇では自分で型を作ってそこに存在しなければいけない。それはまだ未完成だと思いますし、僕はもちろんのこと、第一線で活躍なさっている百戦錬磨の先輩方ももがきながら作ったお芝居ですので。千穐楽の大阪公演までもがき続けながら、みなさんと一緒に走り抜けたいと思っています」。

右近さんはこれまでも、大きな壁を力に変えてきました。この密着企画でも、緊張をバネにしていると何度も語ってくれました。ひとりの役者のその飛翔を目にするチャンスは、そうそうあるものではありません。皆さんにもその瞬間に立ち会っていただきたいです。

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「ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル」パルステ!会員の観劇レポートが到着!

現在、紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて、「ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル」東京公演が絶賛上演中です。

PARCO STAGEのスマホアプリ「パルステ!」では、ゴールドステージ・シルバーステージ会員の中から抽選で決定したお客様を観劇レポーターとしてご招待し、作品のご感想をお寄せいただく試みを行っております。
今回、「ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル」の観劇レポートが到着したましたので、会員の皆様だけに公開するのは勿体ない!と、特別にPARCO STAGE BLOGでもご紹介してみることにいたしました。ご承諾いただきました会員のお二人に心より感謝申し上げます。

既にご観劇済の方はご自身の感想と比べながら、また、まだご覧になっていない方は「このような観方もある」というご参考の一つとして、お読みいただけましたら幸いです。そしてご観劇後には、あなたご自身のご感想も、ブログやSNSで綴ってみていただけたらと思います。

<hr>

「ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル」初日拝見しました。
翻訳劇はちょっと苦手意識があり、最初はまくし立てるような台詞の多さにたじろぎましたが、気がつけば、どんどん話しに引き込まれていました。
重いテーマではありましたが、ラストではホロリとさせられ、後味の良いお芝居でした。
尾上右近丈、現代劇初挑戦とのことでしたが、何の違和感もありませんでした。エリオットの不安や苛立ち、凄く伝わってきました。これからのご活躍も期待しております!

(珊珊さん)


 まず、この作品での尾上右近さんの役柄がイラク戦争の帰還兵ということを知り、ああ、これはアメリカ映画などでお馴染みの、大義があったとは言え、自らの手で人を殺めてしまったことによるPTSD/トラウマの話だろうな。もしかすると、さらに踏み込んで戦争が残したものや命の尊さを問う作品になるんだろうなと勝手に思いながら観劇開始。

 しかし、そんな先入観は開演後すぐに崩壊。イラク戦争によるトラウマというのは登場人物の一人であるエリオットが抱えている問題に過ぎず、他の登場人物は、それぞれ別の問題(悩み)を抱えていた。ドラッグ(コカイン中毒)だ。彼/彼女たちは、エリオットの実母である篠井英介さん演じるオデッサ(ハンドルネーム:俳句ママ)が管理するサイトのチャットルームで繋がっていた。時に罵り合いながら、時に慰め合いながら。バーチャルな空間で、顔すら合わせないまま・・・。

 そんなバーチャル空間に新たな人物。薬物中毒に悩むジョン(ハンドルネーム:ミネラルウォーター)がアクセスしてきたことで、チャットルームでのやり取りは新展開を見せる。

 一方で、サブウエイで働くエリオットにも別の事件が起きる。育ての母であったジニー(オデッサの姉)の体調が急変し、急逝してしまうのだ。

 ここからはオデッサ(ハンドルネーム:俳句ママ)を中心に、オンライン上の人物(俳句ママ、ミネラルウォーター、あみだクジ、オランウータン)と現実世界で悩みながら生きている人物(エリオット、ヤズミン)の話が交錯し、それぞれがそれぞれの反応/行動を取ることになる。これ以上書くとネタバレし過ぎるので、あとは観劇してのお楽しみ。

・・・ということで、ネタバレにならない範囲の抽象的な表現で感想を。

 個人的に(勝手に曲解して)面白いなと思ったのは、第一幕は、

  Addiction,Addict(中毒)
 
 の話で進んでいたのが、第二幕の途中から、いつの間にか、

  Addicted To <e.g. You>(病みつき=愛情、夢中)
 
 の話に転がり始めたことだ。
 
 バーチャルな関係性を保っていた登場人物(俳句ママ、ミネラルウォーター、あみだクジ、オランウータン)は、この物語を通してリアルな現実と対峙することで、ネガティブな意味の「Addict」からポジティブな意味の「Addict」へと変容した。

 その触媒となったのは、リアルな世界で苦しんでいたエリオットとヤズミン。
この二人がジニー急逝を機に、これまで関わらないようにしていたオデッサ(俳句ママ)と会い、エリオットは昔から心の中に澱のように積もっていた自分の気持ちを吐露、一方のヤズミンは「赦す」ことで、以前よりは自分の心の闇が晴れ、次のステップへ進むキッカケとなった。

 メンタルケアでよく使われる「認知行動療法」。それは、ものごとの捉え方を変えてみることから始まる。よく採り上げられる例だが、「コップに水が半分入っている」状態を見て、ある人は「もう半分しか残ってない」と思うかもしれないが、ある人は「まだ半分も残っている」と思う。出来事・状況・対人関係といった「環境」は変えられなくても、自分自身の考え方(認知)や行動は変えられるのだ。

 この作品のタイトルは「ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル」。「たったスプーン一杯の水」と捉えるか、「スプーン目一杯の水」と捉えるか。生きていくために必要なものなんて、実はそんなに大層なものではないのかもしれない。


(twinkleoceanさん)

twinkleoceanさんのレポートは、こちらのnoteの記事でもお読みいただけるとのことです。


「ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル」当日券は毎公演開演の60分前より当日券を販売いたしております。
22日の東京公演千秋楽、8/4(土)の大阪大千秋楽まで、「ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル」応援のほど、どうぞ宜しくお願いいたします!

【ぴあ×パルコステージ特別企画】『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』尾上右近密着取材 vol.5】尾上右近×篠井英介対談

現代劇に初挑戦する歌舞伎役者・尾上右近さんに密着しているこの企画。第5回目は、右近さん演じるエリオットの実母・オデッサ役の篠井英介さんとの対談をお届けする。ふたりが語り合ったのは実は稽古初日。にもかかわらず、早くも打ち解けた穏やかな雰囲気がそこにはあった。それは、この作品の登場人物たちが、心の奥底にやさしさを持ち、人とつながろうとしているからこそ、生まれてくるものなのかもしれない。

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そして、今回は、その篠井さん演じるオデッサを中心としたストーリーを紹介。エリオットとオデッサの関係を知ると、今回の対談をさらに味わい深く読めるはず。もちろん観劇の際の感動もより大きくなるに違いない。

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■STORY■

オデッサ(篠井英介)はフィラデルフィアに住むプエルトリコ人。トイレ掃除婦の仕事の傍ら、ドラッグ中毒から立ち直ろうとする人々が集うチャット・ルームの管理人をしている。彼女自身も[俳句ママ]のハンドルネームを持ち、日本の俳句の形式で、ユーザーを勇気づける言葉を発信。さらには、チャットを飛び出してユーザーと会い、施設を紹介するなどのケアも行っていた。彼女をそこまで掻き立てるのは、自身も中毒者だったからだ。しかも、その中毒のために、ウィルス性胃炎にかかったふたりの子どものうち、娘を死なせた過去がある。5分ごとにスプーン一杯の水を与えなければならなかったのに、子どもたちを放置して失踪してしまったのである。かろうじて生き残った長男のエリオット(尾上右近)は、オデッサの姉ジニーに育てられることになったが、やがてジニーががんで亡くった。葬儀用の花代を徴収しようと、エリオットがいとこのヤズミン(南沢奈央)とともに訪ねてくるも、ユーザーのためにお金を使い果たして無一文の彼女には、パソコンを手放すことしかできず、そのためにチャットができなくなった。そして、息子と会ったことで過去が甦り、6年ぶりにコカインに手を出してしまったオデッサ。オーヴァードーズで倒れているところをエリオットとヤズミンに発見され、新米ユーザーの[ミネラルウォーター]ことジョン(葛山信吾)に介抱されることになる。

 

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■尾上右近×篠井英介 対談■

 

  • 生々しく生きているエリオット

 

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右近 今日の本読みは、最初、かなり緊張してガチガチだったんですけど、みなさんの声を聞いているとイメージが膨らんできて、途中からすごく楽しくなってきました(笑)。

篠井 右近さんもフレッシュで素敵でした。演じる側としてはとても難しい本なのに、自分の手に少し入ってるような感じがして、聞いていて楽しかった。

右近 現代劇が初めての僕としては、何がどのように難しいのかあまりわかってないんですけど。篠井さんをはじめみなさんが、『これは難しい』とおっしゃるということは、エライことに挑んでしまったのかもしれないなと思いつつ(笑)、でも、その分、ワクワクもしています。

篠井 演じる側にとってこの本が大変だというひとつは、それぞれ抱えているものは大きいんだけど、みんな本心を素直に出さなくて、ひねくれたものの言い方しかしないところなんですよね。エリオットとオデッサもそうじゃない? オデッサにとってエリオットは、娘を亡くしてしまったから唯一の子どもで、すごく愛しているのにわだかまりがあるし、エリオットも母の愛を望んでいるのに、オデッサを母親と認めたくない。そんなふうにほかの登場人物もみんなどこか屈折しているでしょ。だけど、ただのイヤな人たちじゃなくて愛おしい人間たちっていうふうに見えなきゃいけないし、かといって、『本当はいい人なんです!』なんて出しちゃうのも変だし面白くない。だからそこが、僕たちがこれから作っていくうえでは大変で難しくて、でもやりがいもあるっていうところになるなと思うんですね。

右近 ただ、今日の時点で、文字で読むのとみなさんの声で聞くのとでは全然ニュアンスが違うなっていうことは感じました。たとえば、オデッサが、姉のジニーが亡くなったことを新聞の死亡記事で知ったところとか、ジニーへの愛情とか家族の絆みたいなものをすごく感じたんです。それを観客は知ってるのにエリオットは確認できない。だから、そのもどかしさや根底にある人の気持ちの温かさを、観る方が感じられるように演じられたらいいのかなというようなことを思いましたね。

篠井 たぶんお客様はエリオットを見ながらこのお芝居に入っていくんだろうなと、今日聞いてて思いました。あとの人たちはもう、ネット上のチャットで、意地悪なことや訳のわからないことを文章で書いているから(笑)、なかなか本心がつかみにくいけど、エリオットがいちばん、ありようとして、生々しく生きている人間っていう感じがしたし。それがすばらしいと思いました。

右近 うれしいです。でも、ホントそうですね。ナマでしゃべるのと文字にするのとでは伝わり方とか速度が違うっていうことも、ひとつこのお芝居のキーになるのかなとは思いました。文字にすると言っても手紙とネットでは全然違いますし。思わぬところで人を傷つけることもあるっていう、現代のネット社会のありさまも、この芝居が提示していることなのかなと思います。

 

  • 歌舞伎役者の持つ力

 

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右近 最初に篠井さんがお母さん役だと聞いたときはすごくうれしかったです。男だけでお芝居するのが常識のなかで育ってきた僕としては、やはり、女形さんがいらっしゃるのは安心できるというか。自分の助けにさせていただけるだろうなと思ったんですね。

篠井 でも、僕としては逆に、せっかく現代劇で女性と芝居できるのに、『また女形かよ』と(笑)、そう思われてるんじゃないかなと心配してたんです。だから、そんなふうに言っていただけるのは本当にうれしいですし。僕はやはり本業が女形だと思ってきましたからね。現代劇で女優さんに混じって女の役をやって、それでも不自然じゃなく、その作品の役に立ちたいと、そんな思いでずっと何十年もやってきたので。今回も、ちゃんとやれないと、今までお前は何をしてきたんだっていうことになるなと思ってるんですけど。

右近 僕、篠井さんがスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』の名古屋公演を観に来てくださったとき、すごく緊張したんです。あの公演では、主人公のルフィとハンコックという女帝の二役を早替りでさせていただいてたんですけど、漫画が原作の現代的な歌舞伎なので、古典の女形とはまた違うスタンスというか、より自然な女形を演じなければならないという一面もあったので、現代女形の篠井さんが観てくださると思うと、自分に足りていないものにすごく敏感になってしまって。デフォルメという意味では、古典よりも守ってくれるものが断然少ないですから。

篠井 そういう意味では、ああいう新作の現代的なものをやればやるほど、その人の持ってるものが出るんですよね。だから、右近さんを拝見して、品格と実力が感じられたのがとてもすばらしいなと思って。古典がきちんとできる人だから、こういう現代的な作品もできるんだなと思いました。

右近 自分がそんなところまでいけてるかどうかわからないですけど……。でも、最高の褒め言葉をいただきました。

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篠井 本当にそう思います。だから、エリオットという現代の青年を演じても、存在感というか肝の据わり方が違うと思うんですよね。そもそも歌舞伎の役者さんたちって、現代劇の役者と違って、365日のうち下手したら300日ぐらいは舞台に立っている人たちでしょう。身体がもう舞台で生きるっていうふうにできちゃってるんですから、正直言って僕ら敵わないですよね。舞台に出てくるだけで、そこにいるだけで、何かこう大きな力がある。それを読み合わせだけでも感じました。身体に染み付いているものはすごいと思います。

右近 そういうものなんですね……。

篠井 ご本人は緊張してドキドキしてますっておっしゃってるけど、『えい!』ってやるしかない、物怖じのなさ、潔さというものをすでにお持ちになっているんですよね。だって、これまでも、何かやるときは、『自分しか頼るものがない』『僕は僕を信じるしかない』と思ってやってこられたでしょうし。それはかけがえのない力だと思います。

右近 確かに、もともと僕の性格としては内気でシャイで緊張しいなので、何かやるときはいつも、その反動でいくっていう感じなんです。最も顕著なのが今回で、ある意味、オーヴァードーズを起こしてるようなものなんですけど(笑)。でも、そこで萎縮しないで、最初からきれいな盆栽になろうとせずに伸び放題に伸びるということがまず僕のやるべきことだと思っているので。演出のG2さんはじめみなさんに、整えてもらえたらいいなと思っているんです。

 

  • 役は関係で作られる

 

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篠井 右近さんがもともとは内気な性格なんだというのは、とてもエリオット的ですよね。エリオットも本当にナイーブで、そんな人がイラク戦争に行くことになって人を殺してしまうという普通じゃない経験をしたんだから、鎮痛剤中毒になったというのも、人間の痛みとしてとてもわかりますよね。

右近 繊細さゆえですよね。

篠井 そうだと思います。ピュアでナイーブだから、お母さんに対しても、屈折した気持ちはありつつ、愛おしいとも思うし、頼りにしたいとも思うし、守ってあげたいとも思うし、いろんな複雑な思いを持っている。そこは右近さんがもともと持っているやさしさとかナイーブさと重なりますよね。

右近 リンクする部分はあるなと、最初に本を読んだときから思っていました。

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篠井 だから、すばらしいキャスティングなんだと思います。

右近 エリオットという役に選んでいただいたのかもしれません。これからのお稽古で、強くそう思えるようにしていきたいですし、エリオットの内面をきちんと表現できるように精進していきたいですね。みなさんの台詞を聞いていると、自分の内面を打ち明ける瞬間に絶妙の間合いがあって、すごく勉強になりました。そこまでの自分の心を整理というものがこういう間として生まれるんだな、こうやってお芝居をお作りになるんだなって。

篠井 僕も、みんな必死で自分の役と向き合ってきたんだなと思いました。みんなのお芝居を聞いてなるほどと思ったこともたくさんありましたね。やっぱり、自分がこういうふうに演じようと思っていても、相手がどう出てくるかで変わっていく。そして、お客様はそのふたりの間に生まれる関係を観ているわけだから、結局、相手役さんがどういうふうに自分と接してくれるかで、自分の役は形作られていくんですよね。だから、そういう意味で、おー、みんな初日からけっこうやってきたなと(笑)。

右近 確かに僕も、従姉のヤズミンに乗っかっていく感じがありました。隣同士に座らせていただいて、これからこの距離がどんどん縮まっていくのかと、それも楽しみになりましたね。初めてお会いしてこんな近い役を演じるなんて、すごく不思議な感覚ですけど。

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篠井 歌舞伎の世界だと、だいたいみんな親戚だからね。お互いにこんな小ちゃいときから知ってるぞって(笑)。

右近 はい。だいたいみんなのことわかってるぞって(笑)。だから、役の関係性としての距離感も最初からおおよそのところは作れるんですけど、今回は初めましてですから。自分からも歩み寄っていかなきゃいけないっていうのは、新鮮で楽しみです。今日も、いつ話しかけたらいいんだろうと思いながら南沢さんに話しかけることができたので、今日だけでかなり鍛えられた気がします(笑)。

篠井 もうね、行け行けって感じです(笑)。演出のG2さんもとてもやさしくて開放的で決めつけたりしない方なので、言いたいこと言って、聞きたいこと聞けばいいだろうし。僕なんかはもう何度もご一緒していることもあって、まず提示してみて、よければ何も言わないだろうし、何かあれば言うだろうし、と思ってやっていますけど。

右近 僕は基本的には、歌舞伎では自分で決めていく習慣があるので、それとは逆に、G2さんとお話しながら進めていけたらなと思っています。そこでいろんなことを提案できるように、自分のなかでいくつかパターンを考えてしておきたいなと。

篠井 右近さんは右近さんのやりようでやっていけば大丈夫。

右近 そこらへんは自由なんですね。

篠井 自由、自由。リラックスしてやればいいと思いますよ。

右近 じゃあって言うのも変ですが、まずご飯に連れて行ってください(笑)。

篠井 そうそう、そういう親睦も大事。おいしいもの食べに行きましょう。

右近 エリオットとオデッサの、台詞の裏にある愛情深いつながりを作るためにも(笑)、ぜひお願いします!

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【ぴあ×パルコステージ特別企画『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』尾上右近密着取材vol.4】稽古場レポート

現代劇に初挑戦する歌舞伎役者・尾上右近さんへの密着企画もいよいよ大詰め。第4回目となる今回は、立ち稽古の模様をレポートします。目撃したのは、右近さん演じるエリオットが、いとこのヤズミン(南沢奈央)とともに実母のオデッサ(篠井英介)のもとを訪れる大事なシーン。そこに居合わせたジョン(葛山信吾)も巻き込んで、おかしくて哀しくて愛おしい場面が立ち上がっていきました。

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そして、第4回目のあらすじでは、稽古に登場したジョンについて紹介します。オデッサが運営するコカイン中毒者が集まるサイトに新しく現れ、みんなから鼻持ちならないと思われた人物が、いかに人々とつながっていくか。誰もが孤独感を感じながら生きている現代に、希望をもたらします。002


■STORY■

エリオット(尾上右近)の実母であるオデッサ(篠井英介)は、コカイン中毒から立ち直ろうとする人々が集うサイトを運営していた。そのチャット・ルームに、[ミネラルウォーター]というハンドルネームを持つジョン(葛山信吾)が現れた。41歳、白人。コンピューター・プログラマーとして起業した会社を最高潮のときに売却して莫大な利益を得、次に入社した会社も退社したが、金と時間は持て余すほどあるという。なのにいつのまにかコカインに手を出していたジョン。救いを求めてチャットに入るも、その恵まれた環境や、プライドの高さが伺える投稿が、もともとチャット・ルームにいた[オランウータン]ことマデリーン(村川絵梨)や[あみだクジ]ことウィルスキー(鈴木壮麻)には受け入れてもらえない。唯一誠実な言葉をかけてくれたオデッサを呼び出し、ジョンはチャットでは言えなかったことを告白する。そんなジョンを、オデッサもまた信頼したのだろう。息子と会って過去の罪が甦り、6年ぶりにコカインを吸って入院したオデッサは、緊急連絡先にジョンを指定した。オデッサの介抱を任されたジョンは、彼女の力となることで、自分自身も前を向いて歩いて行こうと決意する。

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■稽古場レポート■

物語の主人公であるエリオット(尾上右近)は、イラク戦争で負傷して帰還し、今はサンドウイッチショップのサブウェイで働きながら俳優を目指している青年。ある日育ての親である伯母のジニーが亡くなったことで、彼の人生に変化が訪れようとしていました。その始まりとなるのが、これから繰り広げられる場面です。

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舞台はフィラデルフィアのとある食堂。ハンドルネーム[ミネラルウォーター]ことジョン(葛山信吾)が、入ったばかりのサイトの運営者であるオデッサ(篠井英介)をここに呼び出していました。自身のコカイン中毒について何か相談があってのことに違いないのだが、プライドの高い彼はなかなか切り出せない様子。それを承知したうえで何とか力になろうとするオデッサ。そこへやってきたのが、エリオットと、彼が頼りにしているいとこのヤズミン(南沢奈央)です。ふたりがオデッサを訪ねたのは、オデッサの姉でありエリオットの育ての親であるジニーの葬儀の花代を、オデッサに払ってもらうためでした。しかし、お金などないと突っぱねるオデッサ。その険悪な空気に耐えかねたのか、自分のお金を出そうとするジョン。だがそれが、エリオットをさらにムカつかせてしまいます。何しろ、この目の前にいるコカイン中毒者のためには何だってしようとするオデッサは、息子の自分のことは放ったらかしにしてきたのです。エリオットはつい、ジョンの前で、かつてオデッサが自分の娘を放置して死なせたことを暴露し、長年募らせてきた思いをオデッサにぶつけてしまいます。そんなエリオットをなだめるかのように、そしてオデッサの心を動かすかのように、やさしかったオデッサの思い出を語るヤズミン。それを聞き終えたオデッサは、自分のパソコンを売って花代にしてほしいと言い置いて出て行くのでした。

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そこまで一気に通したあとは、演出のG2さんの出番です。少々手厳しい言葉も飛び出しました。この場面で起きているのは、もっとギスギスとしたぶつかり合いなのだというG2さん。ジョンはもっと高飛車にオデッサを見下す感じがあっていい。エリオットはもっとキツくオデッサに当たっていい。その母子の罵り合いの間に入っておろおろするヤズミンと、事情がよくわからずにお金を出そうとするジョンのおかしさも、そこに生まれるというわけです。そして、そんな修羅場に見え隠れするのは、エリオットとオデッサが抱えてきた哀しみとすれ違う親子の愛情。こんなふうに傷つけ合わなければ前に進むことができない彼らに、自分自身の人生の痛みも重なっていくのではないでしょうか。

休憩をはさんで再び同じ場面を繰り返します。エリオット役の右近さんは、先ほどとはまったく違う動きを見せ始めました。立ったままオデッサを責め、ジョンにもグッと近づき、苛立ちがよりクリアになっていきます。

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この場面にヒリヒリとした緊張感があればあるほど、それぞれがのちに見つけ出す希望も際立つはず。私たちも感情のうねりを直に感じ、ともに清々しいラストを迎えられるに違いありません。

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